■ ペインタリネス2004
  −圓城寺繁誉・大城国夫・大杉剛司・岡田久美子・岸本吉弘


□ 展覧会テキスト−那賀裕子+貞彦(美術評論)
「ペインタリネスの展開のそれぞれのいま」
ポロックらの、いわゆる抽象表現主義者のオールオーヴァ(全面)絵画
以来のキャンヴァスの表面づくりは、一度、60年代の終わりにペイン
タリネスを拒否するミニマル絵画として帰結し、その後、80年代に、
あらためて過剰なペインティングとして構築されなおされたのだけれど
も、それが90年代には、さまざまな方法論のもとに多様なひろがりを
みせて、静かに、いわば現代美術シーンの底流においてひろがっていっ
たようである。
はなばなしくも、あざとい「シミュレーショニズム」や「イコノクラッ
シュ」に抗して、静かに、しかし確実に、それぞれのペインティングの
展開をみせているのであるが、とりわけ2000年代にはいって、それ
ぞれに、クリアーな変化がみえてくる。90年代の前半にカラフルでは
あるが鋭いタッチで画面を埋めつくしていた大城国夫は、その後半には
茶色を〈地〉として黒の巨大な円形のような〈図〉をほとんど二色で描
くか、あるいは、黒で全面を塗りつぶすかのように大仕掛けなペインテ
ィングを試みていたのであるが、2000年代にはいると、たとえば、
あざやかな青と緑との二色を試みたり、巨大な円形(あるいは、小さな
多数の円形)の〈図〉がなにかしら透明感をもって息づいてくるのであ
る。
また、やはり90年代後半に、背後に暗い〈地〉をみせて、全体に、重
くるしい赤がほとんどたれ込めているようなペインティングをみせてい
た岡田久美子は、2000年代にはいると、明るい幅広のストロークの
赤を使って、あたかも光がみちてくるようなはれやかな画面にしたてあ
げるのである。
きめ細かいタッチの重ね塗りで重厚なオールオーヴァ画面をつくってき
た大杉剛司も、また2000年代にはいると、繊細な白い線が、あたか
もそのオールオーヴァ画面の絵の具の迷路を縦横にくぐりぬけていくよ
うな、複雑で、たのしい画面をつくりだすのである。
黒々とした幅広のタッチで、上部にそのタッチの塗りつぶしの部分をつ
くったりして、古典的なペインティングをゆさぶるような手法でひとつ
の堅固なペインティングをみせていた岸本吉弘は、2000年代にはい
って、横塗りの「ストライプ」を意識するようになってからまったく新
しい堅固なペインティングをつくるようになる。もはや上部や下部を意
識させないペインティングそれ自身の力で画面を構築するのである。
きわめてダイナミックな手法で、平面において、いうところの<過剰な
る絵画>をみせてきた圓城寺繁誉は、2000年代にはいってからは、
その最底辺におかれていた〈地〉に、なんと、日本美術に伝統的なまさ
しく「箔」をおもわせる図柄を採用するのである。荒々しくも繊細な、
そのマニエリスムが一歩すすめられたのはたしかなことである。
それぞれの新しい展開が、全体として、2000年代にはいってからの
ペインティング の行方を考えさせてくれると思われる。

□ 圓城寺繁誉


□ コメント
絵画はもう限界なのか
限界はどこか
世の中の流れの中で絵画が閉塞状態にあるのか
ある
限界にある
破壊するしかない
破壊し再構成する
絵画を破壊する
絵画として
世の中の流れで膨らみすぎた絵画の広がりを
絵画の常識を破壊し
限界にあるはずの絵画を絵画として成立させること
絵画の限界はどこか
自分自身の限界はどこなのか

□ 略歴
1968 兵庫県生まれ
1991 大阪教育大学小学校課程美術学科卒業
1994 大阪教育大学大学院美術教育専攻絵画彫塑専修修了

個展
1990 茶屋町画廊                    (大阪)
1991 茶屋町画廊                    (大阪)
1992 ギャラリー白                   (大阪)
1993 ギャラリー白                   (大阪)
1994 ギャラリー白                   (大阪)
1995 ギャラリー白                   (大阪)
1996 ギャラリー白                   (大阪)
1997 ギャラリーAD&A−'97 ART PROGRESS       (大阪)
   ギャラリー白                   (大阪)
1998 ギャラリー白                   (大阪)
1999 ギャラリー白                   (大阪)
2000 ギャラリー白                   (大阪)
2001 ギャラリー白                   (大阪)
2002 シティギャラリー,ホワイトキューブ        (大阪)
   ギャラリー白                   (大阪)
2003 ギャラリー白                   (大阪)

グループ展
1989 第13回ローズガーデン美術展           (神戸)
1990 第9回現代日本絵画展               (宇部)
   第41回西宮市展                 (西宮)
   第36回全関西展                 (大阪)
   ’90兵庫県展                  (神戸)
   第14回ローズガーデン美術展           (神戸)
   第2回遠山屋画廊公募展              (神戸)
1991 芦屋市展                     (芦屋)
   大阪教育大学院生4人  (ギャラリーART BOX・神戸)
   Able Artisant's Expo 1991
              (ライフステーションエイブル・豊中)
1992 大阪教育大学移転統合企画 REMOVE-OUT JUMP-EXTENTION
                  (市民ギャラリー豊中・豊中)
   Able Artisant's Expo 1992
              (ライフステーションエイブル・豊中)
1993 大阪教育大院生4人展 Vol.2
               (ギャラリーART BOX・神戸)
   陶版線油               (茶屋町画廊・大阪)
   描なる絵画展             (茶屋町画廊・大阪)
1994 美術の教育とベクトル展
         (大阪教育大学図書館エントランスホール・大阪)
1998 ペインタリネス IV         (ギャラリー白・大阪)
2000 ニューアカ・絵画展         (ギャラリー白・大阪)
2001 ペインタリネス V         (ギャラリー白・大阪)
   多元距離−考 現代美術の成立する場所 7人の挑戦
                   (シティギャラリー・大阪)
2004 ペインタリネス2004
             (ギャラリー白,ギャラリー白3・大阪)

□ 大城国夫


□ コメント
描いていくと、何かが見えてくる。
そんなことを思いながら、制作をしている。

□ 略歴
1980 京都市立芸術大学美術学部日本画科卒業

個展
1984 画廊みやざき                   (大阪)
1988 ギャラリー白                   (大阪)
1989 ギャラリー白                   (大阪)
1990 ギャラリー白                   (大阪)
1991 ギャラリー白                   (大阪)
1992 ギャラリー白                   (大阪)
1993 ギャラリー白                   (大阪)
1994 ギャラリー白                   (大阪)
1995 ギャラリー白                   (大阪)
1996 ギャラリー白                   (大阪)
1997 ギャラリー白                   (大阪)
1998 ギャラリー白                   (大阪)
1999 ギャラリー白                   (大阪)
2000 ギャラリー白                   (大阪)
2001 ギャラリー白                   (大阪)
2004 ギャラリー白                   (大阪)

グループ展
1987 宮本和彦・大城国夫展        (ギャラリー白・大阪)
1989 宮本和彦・大城国夫展        (ギャラリー白・大阪)
1990 マティエールの異種交配       (ギャラリー白・大阪)
1997 ペインタリネス III         (ギャラリー白・大阪)
2001 第11回吉原治良賞美術コンクール展
               (大阪府立現代美術センター・大阪)
   ペインタリネス V         (ギャラリー白・大阪)
2002 アートスカラシップ2001      (exhibt LIVE・東京)
   第15回現代日本絵画展      (宇部市文化会館・山口)
   第7回風の芸術展−トリエンナーレまくらざき
               (枕崎市文化資料センター・鹿児島)
2003 比良から新しい風が…         (比良美術館・滋賀)
2004 ペインタリネス2004
             (ギャラリー白,ギャラリー白3・大阪)

パブリックコレクション
日本ヒューレット・パッカード神戸事業所

□ 大杉剛司


□ コメント
私の絵に対する態度は今も変化がありません。
画面との対話のような時間の中で、色彩と筆致と線は互いに干渉し、染
まり合い、また退け合います。
試行錯誤の中、やがてそれらはある止揚に達します。

□ 略歴
1963 東京都生まれ
1985 大阪教育大学美術科卒業

個展
1986 ギャラリー白                   (大阪)
1987 平松画廊                     (大阪)
1988 不二画廊                     (大阪)
1989 ギャラリー白                   (大阪)
1991 ギャラリー白                   (大阪)
1992 ギャラリー白                   (大阪)
1993 ギャラリー白                   (大阪)
1994 ギャラリー白                   (大阪)
1996 ギャラリー白                   (大阪)
1997 ギャラリー白                   (大阪)
1999 ギャラリー白                   (大阪)
2000 ギャラリー白                   (大阪)
2002 ギャラリー白                   (大阪)
2003 ギャラリー白                   (大阪)
2004 ギャラリー白                   (大阪)

グループ展
1985 羽里吉弘と2人展          (ギャラリー有・大阪)
1988 第9回国際インパクトアートフェスティバル’88
                     (京都市美術館・京都)
1990 Be−Art’90    (ギャラリーBe−Art・京都)
   空間が生まれるとき         (ギャラリー白・大阪)
1994 第20回日仏現代美術展(ロン−ポワン モンテーニュ・パリ)
                    (東京都美術館・東京他)
1995 絵画の方向’95    (大阪府立現代美術センター・大阪)
1997 ペインタリネス III         (ギャラリー白・大阪)
1998 伊丹市芸術家協会新人賞展   (伊丹市立中央公民館・兵庫)
   伊丹市展           (伊丹市立中央公民館・兵庫)
2000 ニュー・アカ絵画展         (ギャラリー白・大阪)
2001 ペインタリネス V         (ギャラリー白・大阪)
2002 比良から新しい風が…         (比良美術館・滋賀)
2003 絵画を見る2           (ギャラリー白3・大阪)
2004 ペインタリネス2004
             (ギャラリー白,ギャラリー白3・大阪)

受賞
1998 伊丹市芸術家協会新人賞展 新人賞
   伊丹市展 奨励賞

□ 岡田久美子


□ 略歴
1960 大阪府生まれ
1985 京都市立芸術大学美術学部油絵科卒業

個展
1986 ギャラリーすずき                 (京都)
1989 オンギャラリー                  (大阪)
   ギャラリーすずき                 (京都)
1990 オンギャラリー                  (大阪)
   トアロード・パス                 (神戸)
1991 オンギャラリー                  (大阪)
1992 オンギャラリー                  (大阪)
1993 オンギャラリー                  (大阪)
1994 オンギャラリー                  (大阪)
1996 天野画廊                     (大阪)
1997 天野画廊                     (大阪)
   水彩画小品展              (天野画廊・大阪)
1998 天野画廊                     (大阪)
1999 天野画廊                     (大阪)
2000 水彩画小品展              (天野画廊・大阪)
2001 天野画廊                     (大阪)
2002 天野画廊                     (大阪)
2003 天野画廊                     (大阪)
   大成社ギャラリー                 (京都)

グループ展
1990 3人の日本女流画家展      (第三ギャラリー・ソウル)
1991 20+4             (トアロード画廊・神戸)
1992 EMA−12分の1           (布忍神社・大阪)
   20+5             (トアロード画廊・神戸)
1993 EMA−12分の1           (布忍神社・大阪)
1994 EMA−12分の1           (布忍神社・大阪)
1998 画廊の視点       (大阪府立現代美術センター・大阪)
1999 共振−深く静かに響きあうもの
            (セルフ・ソウ・アートギャラリー・大阪)
2004 ペインタリネス2004
             (ギャラリー白,ギャラリー白3・大阪)

□ 岸本吉弘


□ コメント
自身の作品に対して、また描き続けることに対して、常に謙虚でありた
い。

□ 略歴
1968 神戸市生まれ
1992 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
1994 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了
1998 文化庁芸術インターンシップ研修員
2001 大和日英基金の助成によりロンドンにて滞在制作

個展
1991 Gアートギャラリー                (東京)
1992 かねこ・あーとG1                (東京)
1995 ギャラリーK                   (東京)
1996 ギャラリーK                   (東京)
1997 ウインドウギャラリー               (東京)
1998 ギャラリーαM                  (東京)
1999 ギャルリームカイ                 (東京)
2000 神戸大学発達科学部テンポラリーギャラリー     (神戸)
2001 トアギャラリー                  (神戸)
2002 トアロード画廊                  (神戸)
   かわさきIBM市民文化ギャラリー        (神奈川)
2003 ギャラリーラ・フェニーチェ            (大阪)
2004 トアロード画廊                  (神戸)

グループ展
1990 コンテンポラリーアート・エキスポ東京’90
                  (原宿クエストホール・東京)
1994 現代美術新進作家展       (網走市立美術館・北海道)
1996 ACT−助手制作展 (武蔵野美術大学美術資料図書館・東京)
   第25回現代日本美術展       (東京都美術館・東京)
                     (京都市美術館・京都)
1997 ACT−助手制作展 (武蔵野美術大学美術資料図書館・東京)
   第26回現代日本美術展       (東京都美術館・東京)
                    (京都市美術術館・京都)
   平面による9の表現       (モリスギャラリー・東京)
                    (青樺ギャラリー・東京)
1998 EARLY−WORKS 始点(ギャルリームカイ・東京)
2000 JADA−画家の目・画商の目  (洋協アートホール・東京)
2001 JADA−画家の目・画商の目  (洋協アートホール・東京)
   VOCA展2001        (上野の森美術館・東京)
2002 こころのパン−日本現代美術展   (トルコ主要5都市巡回)
2003 party          (CAP HOUSE・神戸)
   30+7             (トアロード画廊・神戸)
   第2回大地の芸術祭−越後妻有アートトリエンナーレ
                        (松代町・新潟)
2004 VOCA展2004        (上野の森美術館・東京)
   ペインタリネス2004
             (ギャラリー白,ギャラリー白3・大阪)
   30+8             (トアロード画廊・神戸)

受賞
1990 コンテンポラリーアート・エキスポ東京’90 奨励賞
1997 第26回現代日本美術展 大原美術館賞
2003 兵庫県芸術奨励賞

パブリックコレクション
大原美術館
デルメンデレ市立現代美術館