□ コメント
キャンバスに向かうと、普段自分の心の奥底にあるものがコントロール
できなくなってあふれ出してくる。それがまだ自分のなかにあるときは
恐ろしくてまともに見ることもできないが、ひとたび身体を離れ色とか
たちを得ることで、やっと冷静に対峙できる。
その、自分の分身ともいえるイメージは、無限の生命力を秘めた輝くエ
ネルギー体であったり、悪魔的なまがまがしさに満ちたミステリアスな
生命体であったりもする。
陰と陽。善と悪。破壊と創造。対局の概念の間に揺れ動く自分がひとつ
の答えを見出すとき、作品が生まれる。
作品タイトルの多くは「台風のアジア名」に由来する。大地に豊饒の恵
みと同時に容赦ない破壊をもたらす荒ぶる神のような台風。その名前は
意外にも愛らしい。
Dianmu(雷の母)Dujuan(つつじ)Maemi(せみ)Vongfong(すずめ蜂)
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