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今回の作品は、2007年より始めたアクリル吹付けによる木洩れ陽表現を一昨年より油絵具に替えた最初の個展です。
油絵具吹付けドットによる表現は、乾燥速度や粘度・色種・気圧によって案外デリケートな表情を出します。
操る為の試行錯誤は必要でしたが、その分いろいろな表情の幅が生まれてきます。いまだ未開なる現象をその都度開拓している途中ですが、インクジェットプリントのデジタル的な世界では生まれ得ぬ可能性を、失敗と思われる結果から感じております。
筆での表現とは違い、ダイレクトな触感が薄れた写真、印刷などのテクノロジー表現に近いビジュアルですが、極めてアナログ的に一つずつ手作業で噴射される画面は、私の表現ツールとして心地良い世界を繰り広げてくれます。
一年余りの油絵具との格闘と、以前から連なる表現変化をゆっくり御覧下さい。
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コメント2
木洩れ陽の、影の周りに出来る丸い光をエアーブラシの噴射によって表現すると、ピントの外れた写真の様なビジュアルになります。
本来具象表現のモチーフは図として表れ、空間(背景)が地を成しています。
私の作品も具象表現から踏出しているのですが、光をモチーフにする事によって図と地が逆転します。
元々図であったモチーフを地にする事によって(ピントの外れた写真)あやふやな世界が出来、私自身想像してなかった現象を生み出して行きます。
一つずつドットを重ねる度に図と地が逆転し、新たなものが出てきて喜んだり悩んだり。初めての森を歩くような恐怖と希待を繰返しながら創造しています。
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