私は簡単な作業を繰り返したり、積み重ねたりして作品を造ってきた。2009年から、画面を色の点で埋めていき、その点の上に別の色の点を重ねて描いた絵画を描いている。突き詰めていくに従って、点は小さくなり、細かな点の集積になっていった。
私は点を描く前に、点の形、サイズ、粗密、色彩などの造形的な要素や制作のプロセスをあらかじめ決めており、途中で変更することはしない。計画通りに絵の具を溶き、点を描き始めるのだが、しばらくすると次第に集中し、精神統一のような忘我の境地に至る。作業に没頭する時間の中で、自分にしかできない独特のリズム感が画面に定着していく。自分の力を出し切れたとき時、予想を超えるような、思いがけない作品が生まれることがある。
作業は肉体的な苦痛もともなうが、完成した作品に出会うのは大変楽しい。点を描くということは、自分が生きていることを確認する作業だと思う。私は、描いた点は生の情報の断片で、たくさん集まることで大きな力となり、人の心をプラスの方向へ動かすことができればと考えている。 |