ペインタリネス 2013  <テキスト・尾崎信一郎>
岸本 吉弘・善住 芳枝・中島 一平・渡辺 信明


2013.9.2-9.14 (9.8close) ギャラリー白



「ペインタリネス」という奇跡

尾崎 信一郎


 昨年に引き続き、15回目となる「ペインタリネス」展を開催する。
 「ペインタリネス」とは単なる展覧会というより一つのプロジェクトと考えられないか。この展覧会は出品作家もそのたびごとに変わり、私を含めて数名の批評家がパンフレットにテクストを寄せてきた。すでに18年の歴史をもつこの展覧会にとって、唯一全ての展示に共通しているのはギャラリー白を会場としていることである。(正確にいえばギャラリー白は移転しているから、常に同じ会場という訳ではない)ちなみに1995年の第1回展には善住芳枝、館勝生、田中美和、細井まさひろ、山部泰司、渡辺信明が出品し、テクストを長谷川敬子氏が執筆している。初回の出品者の中に、今回と同じ河合(田中)美和と渡辺信明の名が認められる点にこのプロジェクトの持続性は明らかであろう。実際に18年もの長きにわたり、毎年5名から8名の出品者を有しながらも、出品者は延べに直すと30名余にすぎないという事実はこの展示がいわばコアのメンバーを中心にその周辺にさほど多くない作家を加えることによって構成されてきたことを暗示している。ほとんどの作家が複数回にわたって出品し、河合美和や善住のようにほぼその半数に出品している作家もいる。
 このような展覧会をマンネリと呼ぶことはたやすい。しかしながら私たちは関西において、いや日本全体を見回したとしても、一つの名前のもとにメンバーを違えながら20年近くも続けられているグループ展をほかに挙げることができるだろうか。むろんなんらかの団体、もしくは結社が展覧会を続ける場合はありうる。しかし「ペインタリネス」のごとく、一つの理念のもとに統御されたグループ展が貸画廊という不安定な制度の中でかくも長く持続されてきたことは驚き以外のなにものでもない。
 一つの理念と述べたが、「ペインタリネス」を統べる原理を説明することは必ずしも容易ではない。原則として抽象表現、それも文字通りペインタリーな表現が多く用いられていることは間違いない。しかし時に明らかな具象性が提示され、時にペインタリーならざるリニアな抽象表現(この対立がヴェルフリン/グリーンバーグから引かれていることを私は何度か論じた)が用いられ、それらが展示の中でなんら違和感なく併置されることこそ「ペインタリネス」の魅力なのである。ゆるやかな同質性を保ちながらも異質を排除しないという寛容は今やこの社会から失われつつある。この点を私は昨年のパンフレットに次のように記した。「彼らに共有されるのは様式や手法ではなく、絵画に向かう姿勢である。それを一言で言うならば『絵画によって絵画を探る』という意識に求められるのではないだろうか」形式ではなく姿勢、表現はさまざまであったとしても姿勢を共有する画家たちが一つの共同体を形成するという夢、過去を美化するつもりはないが、私は自らも立ち会った80年代後半の関西の美術状況は確かにこのようなユートピアであったように感じる。
 最初に述べた通り、「ペインタリネス」はギャラリー白という会場を唯一の共通項としている。ギャラリー白が80年代後半に果たした役割を考える時、私はこの展覧会が関西の80年代のエートスを今に伝える奇跡のようなプロジェクトであるように感じられてならない。「ペインタリネス」の出品者のうち、比較的年長の作家たちは例えば兵庫県立近代美術館で開かれていた「アート・ナウ」にも参加し、「関西ニューウエーヴ」の一翼を担った。今や関西の美術館にこのような若手を育てるグループ展を維持する余裕はなく、「ペインタリネス」に出品する比較的若い作家たちは、自らの力で作品をアピールしなければならなかった。しかし逆に言うならば、「ペインタリネス」というプロジェクトがあったがゆえに私たちは少なくとも絵画においては「関西ニューウエーヴ」に後続する世代が確実に存在し、着実な活動を続けてきたこと、そして彼らは例えば2010年に国立国際美術館で開催された「絵画の庭」の出品作家たちとは全くテイストを異にしていることを知ることができたのである。残念ながら今回は個々の作家について論じる紙幅がないが、「ペインタリネス」の出品作家たちは1990年代後半以降、絵画にとって苦境と呼ぶべき時期に、時流に阿ることなく、まさに「ペインタリネス」のみに立脚する絵画の制作を続けた関西で最良の画家たちであることを私は確言することができる。
 なぜ「ペインタリネス」という奇跡は可能であったのか。最初に私はこのプロジェクトをギャラリー白と結びつけた。必然的に私たちはもう一つの名を思い浮かべるだろう。いうまでもなくギャラリー白のオーナーであった鳥山健である。定期的にグループ展を企画し、同時代のカッティング・エッジを紹介すること。本来は美術館が果たすべき役割を鳥山は1979年にギャラリーを開いて以来、自らのギャラリーを用いて意欲的に続けていた。「イエス・アート」、「イメージへの回帰」あるいは「絵画論的絵画」。「関西ニューウエーヴ」の素地を作る試みがギャラリー白をはじめとするいくつかの貸画廊によって進められたことは記憶されてよい。「ペインタリネス」の作家たちを結ぶもう一つの接点は鳥山であり、作家の人選はテクストを寄せる批評家ではなく、鳥山によってなされていた。顔ぶれを見るならば、ここに出品した作家たちが鳥山のお気に入りであったことも明らかだ。そしてそれは単なる人間的な機微ではなく、作品に対する深い審美眼に根ざしていた。ギャラリーで開催された個展の中から優れた作家たちを選び、企画展の中で紹介する。鳥山にとってギャラリー白とは、貸画廊の狭い空間から美術の未来を眺望し、作家たちの成長を確認する場であったはずだ。そして鳥山はとりわけ「ペインタリネス」を愛でた。会場で楽しそうに作家たちと談笑する鳥山の姿を私たちは何度となく目にしてきた。高齢を押して昨年も鳥山は会場に足を運んでいる。昨年、私はこのテクストの中で初回展の出品者であり、早世した館勝生を追悼した。そして今年、私たちはこのプロジェクトの中心にいた鳥山を追悼しなければならない。ギャラリー白の狭い事務室で楽しげに語らう二人の姿を見慣れていた私にとって、彼ら二人の不在はあまりも辛い。しかし私たちは「ペインタリネス」を続けていくことにしよう。プロジェクトとは pro-ject、すなわち立ち止まることなく未来に向かって絵画を「前に」「投げていく」ことの謂なのだから。


(おさき・しんいちろう 鳥取県立博物館副館長)




□ 岸本 吉弘


このペインタリネス展の会期中、私はニューヨーク州郊外に滞在している。
今更、アメリカでもなかろう、、とも思う。
かつて30歳になった頃、私はロンドンで滞在制作をし、この時の経験(制作)が、その後の私の制作方向に大きく影響を与えたのも実際である。
20代の頃は欧米にも憧れ、自身の国籍がコンプレックスでもあり、また原動力でもあった。
今回の滞在が、自己を「対象化≒対称化」できる好機であると信じ、現在は日本人であることが本当に幸せだと思う。
とにかく謙虚に描き続けたい。



□ 略歴

1968

兵庫県神戸市生まれ(現在、宝塚市在住)

1992

武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業

1994

武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了

1998

文化庁芸術インターンシップ研修員

2001

大和日英基金の助成によりロンドンにて滞在制作

 

主な個展

1991

Gアートギャラリー

(東京)

1992

かねこ・あーとG1

(東京)

1995

ギャラリィK

(東京)

1996

ギャラリィK

(東京)

1997

ウインドーギャラリー

(東京)

1998

ギャラリーαM

(東京)

1999

ギャルリームカイ

(東京)

2001

トアギャラリー

(兵庫)

2002

トアロード画廊

(兵庫)

 

かわさきIBM市民文化ギャラリー

(神奈川)

2003

ギャラリーラ・フェニーチェ

(大阪)

2004

トアロード画廊

(兵庫)

2005

トアロード画廊

(兵庫)

2006

西脇市岡之山美術館

(兵庫)

2007

甲南大学ギャルリーパンセ

(兵庫)

2008

アスタくにづか2番館特設会場

(兵庫)

トアロード画廊

(兵庫)

2009

奈義町現代美術館

(岡山)

 

海岸通ギャラリーCASO

(大阪)

2010

トアロード画廊

(兵庫)

2011

gallery COEXIST

(東京)

2013

ギャラリー白・ギャラリー白3

(大阪)


主なグループ展など

1990

コンテンポラリーアート・エキスポ東京’90

 

(原宿クエストホール:東京)

1994

現代美術新進作家展

(網走市立美術館:北海道)

1996

現代日本美術展

(東京都美術館:東京/京都市美術館:京都)

1998

EARLY−WORKS 始点

(ギャルリームカイ:東京)

2001

VOCA −現代美術の展望

(上野の森美術館:東京)

2002

こころのパン 日本現代美術展

 

(’05にかけてトルコ主要5都市巡回)

2003

party

(CAPHOUSE:兵庫)

2004

ペインタリネス

(ギャラリー白:大阪)

 

Gallery Selection−RESONANCE

 

(ギャラリーラ・フェニーチェ:大阪)

 

VOCA −現代美術の展望

(上野の森美術館:東京)

2005

兵庫国際絵画コンペティション

(兵庫県立美術館:兵庫)

2006

見ること/作ることの持続−後期モダニズムの美術−

 

(武蔵野美術大学美術資料図書館:東京)

 

ペインタリネス

(ギャラリー白:大阪)

 

party

(CAPHOUSE:兵庫)

2009

表層の冒険者達

 

(ギャラリー石田:東京/exhibit live&Moris Gallery:東京)

 

神戸大学発達科学部B棟壁画制作(タイルモザイク)恒久設置

 

Link−しなやかな逸脱 神戸ビエンナーレ招待作家展

 

(兵庫県立美術館:兵庫)

2011

空間をめぐる四つの対話

(熊本県立美術館分館展示室:熊本)

2012

COMPOSED

(COOHAUS:ニューヨーク)

2013

ペインタリネス2013

(ギャラリー白:大阪)


受賞

1990

コンテンポラリーアート・エキスポ東京’90 奨励賞

1991

第5回ホルベインスカラシップ奨学生

1992

卒業制作優秀賞

1994

修了制作優秀賞

1997

現代日本美術展  大原美術館賞

2003

兵庫県芸術奨励賞

第17回ホルベインスカラシップ奨学生

2005

資生堂ADSP

2008

神戸長田文化賞

2009

神戸市文化奨励賞


パブリックコレクション

 

愛知県美術館
大原美術館
神戸市
神戸大学
デルメンデレ市(トルコ) 他




□ 善住 芳枝


 ここ数年、大作と並行して小品制作にも力を入れている。大作に向かう際の、ジェットコースターのような高揚感とは違う、繊細な感情の起伏が心地よい。大作と小品を併せて観ていただくことで、心の二面性のようなものを感じていただければと思う。
 年齢や経験を重ねるにつれて、より寛容に、また慎重に物事を捉えるようになってきた。単に絵画空間というだけでなく、感情的にも奥行き豊かな作品でありたい。



□ 略歴

1964

伊丹市に生まれる

1987

京都市立芸術大学美術学部卒業

 

個展

1990

ギャラリー白

(大阪)

1991

ギャラリー古川

(東京)

ギャラリー白

(大阪)

1992

ギャラリー白

(大阪)

1993

ギャラリー白

(大阪)

1995

ギャラリー白

(大阪)

1996

ギャラリー白

(大阪)

1998

ギャラリー白

(大阪)

第一生命ギャラリー

(東京)

1999

ギャラリー白

(大阪)

2000

TeNBA-A

(大阪)

2001

ギャラリー白

(大阪)

2002

ギャラリー白

(大阪)

シィ・プラス プラス ギャラリー

(大阪)

2003

ギャラリー白

(大阪)

2004

トアロード画廊

(兵庫)

ギャラリー白

(大阪)

2005

トアロード画廊

(兵庫)

ギャラリー白

(大阪)

2006

トアロード画廊

(兵庫)

ギャラリー白

(大阪)

海岸通ギャラリーCASO

(大阪)

2007

トアロード画廊

(兵庫)

ギャラリー白

(大阪)

第一生命ギャラリー

(東京)

2008

トアロード画廊

(兵庫)

ギャラリー白

(大阪)

2009

トアロード画廊

(兵庫)

ギャラリー白/ギャラリー白3

(大阪)

ギャラリーDEN

(大阪)

2010

トアロード画廊

(兵庫)

ギャラリー白

(大阪)

2011

トアロード画廊

(兵庫)

ギャラリー白

(大阪)

2012

トアロード画廊

(兵庫)

ギャラリー白

(大阪)


グループ展

1988

善住芳枝・ニシムラユウリ展

(ギャラリー白:大阪)

IBM絵画イラストコンクール

(ABCギャラリー:大阪)

1989

イマージュが生まれるとき

(ギャラリー白:大阪)

ART LINE'89−絵画脱出点

(大阪府立現代美術センター:大阪)

1990

空間が生まれるとき

(ギャラリー白:大阪)

1991

描く力−絵画の衝動

(信濃橋画廊:大阪)

1992

'92兵庫の美術家

(兵庫県立近代美術館:兵庫)

 

Some aspects of painting

(ギャラリー白:大阪)

1994

セルフィッシュなミューズ−利己的な芸術神

 

(ひらかた近鉄アートギャラリー:大阪)

1994

'94兵庫の美術家

(海文堂ギャラリー:兵庫)

1995

ペインタリネス

(ギャラリー白:大阪)

 

現代美術7人展

(伊丹市立美術ギャラリー伊丹:兵庫)

ウイメンズ'95

(大阪府立現代美術センター:大阪)

第3回画廊の視点'95

(大阪府立現代美術センター:大阪)

1997

VOCA展'97−新しい平面の作家たち

(上野の森美術館:東京)

ペインタリネスV

(ギャラリー白:大阪)

No Finder展

(SPACE JOY:大阪)

APOSTROPHE ART PART 1展

(ギャラリー石彫:兵庫)

'97兵庫の美術家

(兵庫県立近代美術館:兵庫)

APOSTROPHE ART PART 3展

(ギャラリー石彫:兵庫)

1998

16人の基展

(画廊ぶらんしゅ:大阪)

1999

四つの表現展

(アトリエ西宮:兵庫)

現代日本絵画の展望展

(東京ステーションギャラリー:東京)

1999

APOSTROPHE ART PART 6展

(ギャラリー石彫:兵庫)

2000

いのちのかたち−大西久・善住芳枝

(アトリエ西宮:兵庫)

16人の基展

(画廊ぶらんしゅ:大阪)

APOSTROPHE ART PART 7展

(ギャラリー石彫:兵庫)

2001

ペインタリネスX

(ギャラリー白:大阪)

21世紀の表現 ART IN ART JAPAN

(姫路市立美術館:兵庫)

現代美術−茨木2001展

(茨木市立上条青少年センター:大阪)

APOSTROPHE ART PART 8展

(ギャラリー石彫:兵庫)

2002

現代美術−茨木2002展 特集作家

 

(茨木市立上条青少年センター:大阪)

2003

現代美術の斬新な切口展

(比良美術館:滋賀)

2004

絵画の「たのしみ」

 

(ギャラリー白:大阪/元麻布ギャラリー:東京)

無限の源

(尼信博物館:兵庫)

VOCA1994−2003 10年の受賞作品展

(大原美術館:岡山)

2005

第13回吉原治良賞美術コンクール展

 

(大阪府立現代美術センター:大阪)

2006

ペインタリネス2006

(ギャラリー白:大阪)

VOCAに映し出された現在 いまいるところ/いまあるわたし

 

(宇都宮美術館:栃木)

第一回21世紀関西女性絵画展

 

(兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー:兵庫)

2007

ペインタリネス2007

(ギャラリー白:大阪)

架空通信「百花撩乱」展

 

(兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー:兵庫)

アート・ナウKANAZAWA 第46回北陸中日美術展

 

(加賀アートギャラリー:石川)

2008

比良から新しい風が…54 明日に向かって歩むアート展

 

(比良美術館:滋賀)

第一回世界文化遺産姫路城現代美術ビエンナーレ2008展

 

(姫路市民ギャラリー:兵庫)

絵画の「たのしみ」

(ギャラリー白:大阪)

第二回21世紀関西女性絵画展

 

(兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー:兵庫)

架空通信「百花撩乱」展 2008

 

(兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー:兵庫)

アート・ナウKANAZAWA 第47回北陸中日美術展

 

(加賀アートギャラリー:石川)

2009

架空通信「百花撩乱」展 2009

 

(兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー:兵庫)

神戸ビエンナーレ2009招待作家展「LINKーしなやかな逸脱」

 

(兵庫県立美術館:兵庫)

2010

絵画の「たのしみ」

(ギャラリー白:大阪)

第三回 21世紀関西女性絵画展

 

(兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー:兵庫)

 

比良から新しい風が…69 今を問う表現展

(比良美術館:滋賀)

2011

架空通信 トリビュート

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

ペインタリネス2011

(ギャラリー白:大阪)

アートフェア京都 出展者:yokart

 

(ホテルモントレ京都:京都)

 

比良から新しい風が…72 感性と表現

(比良美術館:滋賀)

プレ人間展神戸

 

(兵庫県立美術館王子分館原田の森ギャラリー:兵庫)

リーフ展・ゼロ号展

(ギャラリー葉kobe:兵庫)

津高和一生誕100年架空通信展テント美術館とはなにか

 

(西宮市大谷記念美術館:兵庫)

津高和一生誕100年目の仲間たち(架空通信)展

 

(ギャラリーSHIMA:兵庫)

2012

I Love Kobe 展・リーフ展・ゼロ号展

 

(ギャラリー葉Kobe:兵庫)

第5回 断片 16

(ギャラリーSHIMA:兵庫)

ペインタリネス2012

(ギャラリー白:大阪)

2012 日韓交流絵画展

(城南アートセンター:韓国)

尼崎アートフェスティバル2012

(尼崎総合文化センター:兵庫)

第四回 21世紀関西女性絵画展

 

(兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー:兵庫)

2013

ペインタリネス2013

(ギャラリー白:大阪)


受賞

1997

VOCA展'97<VOCA奨励賞>

2005

第13回吉原治良賞美術コンクール展<大賞>

兵庫県芸術奨励賞

2011

亀高文子記念−赤艸社賞


パブリックコレクション

 

第一生命保険相互会社(東京)

 

伊丹市(兵庫)

 

大阪府立現代美術センター(大阪)




□ 中島 一平


次の制作をイメージする。たとえば分厚い刷毛をしっかりと持ち、何色かの絵具をたっぷりと容器に用意し、始めは水彩のようにオーガニックなストロークの集合を描く。混色をしながら一定のリズムの中へと入り、形象と空間の浮上を探る。明るいグレーの広がりが生まれ、濃色の塊が現れ、下層に透明色がかすかに残る。全体の浮上のためにほとんどの部分が覆われ、再び手がかりとなるストロークが加えられ、新しい再生が模索される。まるで60年代前半のPhilip Gustonのように、、、無意識の中に眠る形象と空間を求め黙々とそんな行為がくり返される。次はそんな絵を描いてみたいと思う。

 (2013年春 制作ノートより)



□ 略歴

1948

京都府に生まれる

1972

京都市立芸術大学西洋画科卒業

 

個展

1978

Crazy Hand

(画廊みやざき:大阪)

 

友達の住む風景

(今橋画廊:大阪)

1983

靭ギャラリー

(大阪)

Poros Island

(アートスペース虹:京都)

靭ギャラリー

(大阪)

1984

アートスペース虹

(京都)

1985

村松画廊

(東京)

ギャラリー16

(京都)

信濃橋画廊

(大阪)

1986

ギャラリー16

(京都)

1989

AD&Aギャラリー

(大阪)

1990

AD&Aギャラリー

(大阪)

1991

AD&Aレンガ倉庫ギャラリー

(大阪)

1994

持続するためのdrawing-I

(AD&Aレンガ倉庫ギャラリー:大阪)

持続するためのdrawing-II

(ギャラリー16:京都)

1997

脱構造と外部

(AD&Aレンガ倉庫ギャラリー:大阪)

2001

窓からの光

(AD&Aギャラリー:大阪)

2005

浜屋敷における試み

(吹田歴史文化まちづくりセンター:大阪)

2006

ギャラリー白3

(大阪)

不二画廊

(大阪)

2007

窓からの光・シリーズU

(ギャラリー白3:大阪)

2008

窓からの光・シリーズV

(ギャラリー16:京都)

2009

Drawings 進行形の断面

(海岸通りギャラリーCASO:大阪)

2010

窓からの光・シリーズW

(ギャラリー白3:大阪)

2011

窓からの光・シリーズV

(ギャラリー白3:大阪)

窓からの光・シリーズY

(ギャラリー301:兵庫)

2012

ギャラリー白3

(大阪)

2013

ギャラリー白3

(大阪)


グループ展

1978

中島一平・中島順子2人展

(信濃毎日新聞社ギャラリー:長野)

1981

茨木現代美術特集作家4人展

(茨木市中央公民館:大阪)

1982

現代美術−茨木

(茨木市青少年センター:大阪)[〜'11]

1983

第2回吉原治良賞コンクール展

(大阪府立現代美術センター:大阪)

第16回日本現代美術展

(東京都美術館・東京/京都市美術館:京都)

岩村伸一・浜地憲章・中島一平ドローイング3人展

 

(東門画廊:兵庫)

第5回エンバ美術賞展

(エンバ美術館:兵庫)

1984

アートナウ'84

(兵庫県立近代美術館:兵庫)

第15回日本国際美術展

 

(東京都美術館:東京/京都市美術館:京都)

June Space

(ギャラリー白:大阪)

現代美術’84

(アトリエ西宮:兵庫)

ランニングアート'84

(滋賀,愛媛,大阪)

1985

'85京都選抜展

(京都市美術館:京都)

アートフロント50-西風のコロンブスたち

 

(心斎橋パルコ:大阪)

1986

京都府美術工芸選抜展

(京都府立文化芸術会館:京都)

戦後生まれの作家たち展

(宮城県美術館:宮城)

Painting Exhibition

 

(コンセプトアートギャラリー:アメリカ)

1987

'87 Spring Show

(ギャラリーK:東京)

いま絵画は-OSAKA '87

(大阪府立現代美術センター:大阪)

1988

いま絵画は-OSAKA '88

(大阪府立現代美術センター:大阪)

1989

ドローイング ’89

(ギャラリーココ:京都)

1990

Facades Imaginaires

(フランス)

平面・5つの視点

(AD&Aギャラリー:大阪)

第1回大阪トリエンナーレ

(マイドームおおさか:大阪)

1991

AD&Aレンガ倉庫ギャラリーオープニング展

 

(AD&Aレンガ倉庫ギャラリー:大阪)

京都アンデパンダン展

(京都市美術館:京都)

1992

現代美術-茨木-源流の4人展

(茨木市立ギャラリー:大阪)

1993

KARUIZAWA BIENNALE

 

(脇田美術館:長野/猪熊弦一郎現代美術館:香川)

1994

岩村伸一・浜地憲章・中島一平3人展

(不二画廊:大阪)

現代美術センター20年の軌跡展

 

(大阪府立現代美術センター:大阪)

1995

現代美術-茨木ミニアチュール展

 

(茨木市立ギャラリー:大阪)[〜'12]

2000

平面性

(不二画廊:大阪)

2003

作品+ONE

(茨木市立ギャラリー:大阪)

京都・洋画の現在

(京都文化博物館:京都)

2004

日韓交流展 Crossing-I

(デウーギャラリー:韓国)

第2回古民家まるごと美術展

 

(吹田歴史文化まちづくりセンター:大阪)

2005

日韓交流展

(不二画廊:大阪)

2006

朴泰成・大西博・中島一平 三氏展

(PICIギャラリー:韓国)

2007

架空通信 百花繚乱展

(兵庫県立美術館ギャラリー棟:兵庫)

2008

Gunter Forg 彦坂敏昭・中島一平ドローイング

 

(TCA Gallery:大阪)

2009

大西博・永野陽子・中島一平展

(不二画廊:大阪)

2010

ペインタリネス2010

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

2012

ペインタリネス2012

(ギャラリー白:大阪)

黒展

(ギャラリー白:大阪)

2013

ペインタリネス2013

(ギャラリー白:大阪)


受賞

1983

第2回吉原治良賞コンクール<大賞>

第5回エンバ美術賞展<優秀賞>

1984

第15回日本国際美術展<兵庫県立近代美術館賞>


パブリックコレクション

 

大阪府立現代美術センター
兵庫県立美術館
大阪市
茨木市
大阪府島本町
甲南大学図書館
大阪経済大学




□ 渡辺 信明


毎日の散歩。

リード先の犬の細やかな動きと、それを取り巻く風景が互いに交錯する状態を、私はとてもおもしろいと思う。

そんな遠くと近く、その両方を同時にとらえて歩くという感覚は、実は絵を描くことに少し似ている。

表面とその向こう側の関係に隠された絵画の秘密を知ること、つまり手前と奥を軽やかに横断してみたいという思い、それが私の日頃の制作を大きく支えている。



□ 略歴

1962

滋賀県に生まれる

1986

京都市立芸術大学美術学部卒業

1988

京都市立芸術大学大学院美術研究科修了

1994〜’95

 

渡米(アメリカ・ニュージャージー州)

 

個展

1987

ギャラリー16

(京都)

1988

三和銀行ロビー

(京都)

1989

ギャラリーすずき

(京都)

1990

ギャラリー白

(大阪)

1991

ギャラリーすずき

(京都)

1992

ギャラリーすずき

(京都)

1993

ギャラリー白

(大阪)

1996

ギャラリーすずき

(京都)

1997

ギャラリー白

(大阪)

1998

ギャラリーすずき

(京都)

複眼ギャラリー

(大阪)

1999

ギャルリ・プス

(東京)

2000

ギャラリーすずき

(京都)

2001

ギャラリー白

(大阪)

2002

ギャラリーすずき

(京都)

2003

テンバ・Aギャラリー

(大阪)

ギャラリー白

(大阪)

2004

ギャラリーすずき

(京都)

2005

ギャラリー白/ギャラリー白3

(大阪)

2006

ギャラリーすずき

(京都)

2007

ギャラリー白

(大阪)

2008

ギャラリーすずき

(京都)

2009

ギャラリー白

(大阪)

2010

ギャラリーすずき

(京都)

2011

ギャラリー白

(大阪)

2012

ギャラリー白

(大阪)

2013

ギャラリーすずき

(京都)


グループ展

1980

表現展 [〜’99]

(八日市文化芸術会館:滋賀)

1984

小田仲康浩・渡辺信明展

(ギャラリーすずき:京都)

1985

絵画−感覚と認識−

(ギャラリー成安:京都)

1986

宗達の正直者展

(ギャラリー白:大阪)

フィジヤマゲイシャ5

 

(京都芸大ギャラリー:京都/ライティングラボ:東京)

1987

トランスアートシーン2−バイオマップの交通図−

 

(ギャラリー16:京都)

1988

いま絵画はOSAKA’88

(大阪府立現代美術センター:大阪)

1989

次代を担う作家展

(京都府立文化会館:京都)

アートフォーラム’89「飛来するさかな」

 

(嵯峨美術短期大学展示室:京都)

1990

絵画論的絵画

(ギャラリー白:大阪)

ART JUNCTION 5

(河原町阪急ウインドウギャラリー:京都)

1991

現代美術'91-素材はいろいろ-

(徳島県立近代美術館:徳島)

次代を担う作家展

(徳島県立近代美術館:徳島)

現在地

(姫路市立美術館:兵庫)

1992

Parastyle Exhibition

(マンダリンホテル:シンガポール)

筆跡の誘惑−モネ、栖鳳から現代まで−

(京都市美術館:京都)

1993

Parastyle Exhibition

(マンダリンホテル:シンガポール)

1992

中川佳宣・渡辺信明展

(The Ufer!ギャラリー:京都)

次代を担う作家展

(徳島県立近代美術館:徳島)

1994

アート・ナウ'94−啓示と持続−

(兵庫県立近代美術館:兵庫)

画廊の視点

(大阪府立現代美術センター:大阪)

1995

ペインタリネス

(ギャラリー白:大阪)

1996

VOCA展'96現代美術の展望−新しい平面の作家たち

 

(上野の森美術館:東京)

現在絵画−3つの表情−

(京都市四条ギャラリー:京都)

スピリット&エナジー

 

(ワールドワークス・ファインアートギャラリー 
:カリフォルニア州)

NEW OUTLOOK’96

(ギャラリーココ:京都)

1997

絵画の方向’97

(大阪府立現代美術センター:大阪)

CONTEMPLATIONS

 

(ワールドワークス・ファインアートギャラリー 
:カリフォルニア州)

1998

DRAWINGS

(ギャラリーそわか:京都)

渡辺信明・中川佳宣展

(The Ufer!ギャラリー:京都)

比良から新しい風が…3

(比良美術館:滋賀)

1999

Painting−good works− [東島毅・山部泰司・渡辺信明]

 

(ギャラリー白:大阪)

3 weeks for 20 paintings

(ギャラリーココ:京都)

Compact Disc/VA−CDというメディアの響宴−

 

(神戸アートビレッジセンター:兵庫)

絶え間ない軌跡−ドローイング三人展−

 

(ノブ ギャラリー:愛知)

まくらざきビエンナーレ"風の芸術展"

 

(枕崎市文化資料センター:鹿児島)

2000

DRAWINGS

(ギャラリーそわか:京都)

2001

京展

(京都市美術館:京都)

2003

吉原治良賞展

(大阪府立現代美術センター:大阪)

市展から京展へ、京都市美術館コレクション展第一期

 

(京都市美術館:京都)

京都・洋画の現在〜85人の視点〜

(京都文化博物館:京都)

2004

絵画の「たのしみ」

 

(元麻布ギャラリー:東京/ギャラリー白:大阪)

DRAWINGS

(ギャラリーそわか:京都)

2005

DRAWINGS:ユニットS+Nにて参加」

(ギャラリーそわか:京都)

2006

ペインタリネス 2006

(ギャラリー白:大阪)

2007

光のFM[渡辺智子×渡辺信明]

(折中庵月吠:奈良)

“ダイアローグ”コレクション活用術VOL.2

 

(滋賀県立近代美術館:滋賀)

2008

絵画の「たのしみ」

(ギャラリー白:大阪)

京都美術ビエンナーレ

(京都文化博物館:京都)

2010

絵画の「たのしみ」

(ギャラリー白:大阪)

2012

ペインタリネス2012

(ギャラリー白:大阪)

2013

ペインタリネス2013

(ギャラリー白:大阪)


受賞

1991

次代を担う作家展<優秀賞>

1999

まくらざきビエンナーレ<準大賞>

2001

京展<京展賞/京都市美術館賞>

2003

吉原治良展<優秀賞>

2006

京都市芸術新人賞


コレクション

 

京都府立文化芸術会館

 

枕崎市文化資料センター

 

京都市美術館