ビジュアル作品について。
プリント(写真)であれ、ペイント(絵画)であれ、ビジュアル平面作品として表現している中、自然の中にある平面 みなも(水面鏡)を媒介として画面の中の化学反応を試みています。
平面の中に、遠近法ではなく、レイヤーとしての深み(多重性)と、一瞬という時間(完結性)をよりアクチュアルに体験する装置の制作。
私たちは、透過する光と反射する光を、焦点が合って無くても光量が足りなくても、それら総て(その手前と奥)を一瞬に還元する体験を誰もが日常体験しているのに、勝手に分析する偏った合理的認識で、表現(イメージ)を気づかないうちに外の世界へと追いやっている気がします。
風や雨や自然物の行為による気配が光と融合し、薄氷として結晶化する。一瞬の連鎖現象、私はこの結晶化により、直感的に覚醒させる作品を残したいと思っています。
石ころ作品(Atomoscape serirs)について。
私の中で、今回の展覧会のメインとして制作した小石の作品は、「結び」というテーマを持っています。
2005年頃から始めたランドスケープシリーズの延長です。
以前の作品は、その石があった場所から採取したものを、篩(フィルター)にかけて、出来るだけ単純なコンセプト(大⇔小)で、そこから生まれるものを表現してきました。
それは、平面の上を石で覆い尽す、フラクタルイリュージョン的作業でした。(平面→レリーフ)
今回の新作は、同じように石と石を付けているのですが、それを反転させています。
基盤となる平面には付けず石同士で自立させ、実空間(光)との対話を目的とする三次元作品になりました。
このような展開は先に述べたビジュアル作品に密接にリンクしています。
まず、私は、テーブルの上に小石で島を作りました。
それを反転させると水溜まりのような新たな面(基盤)が現れます。(平面=型)
この平面は、ビジュアルで表現された水面のイメージに呼応しています。
型は、プリント(写真)の役割を果たし、やがて具体的な立体物にも移行します。
一つひとつの小石が作る隙間は、粒子の内と外を行き来しながら表皮(型)との関係を浮かび上がらせる、アトモスケープな「零れ光」の世界を創造しています。
結び=ムスビ=産霊。魂を産むこの日本独特の概念は、八百万の存在を適確に感じるとても大切なキーワードだと思っています。
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