浜本 隆司
HAMAMOTO Takashi


2016.11.14-11.19
ギャラリー白



「個展に向けて」

●私が絵画で目指しているもの
現在の私の絵画は2011年の東北の大地震をへて大きく変化しました。
私は被災者ではありませんが、あの地震、原発事故によって日本の空気が一変したのと、日本人の気持ちが大きく変わったことを感じました。
私にとっては、「絵という表現はどうあるべきか」を問い直す大きなきっかけとなりました。
そして、あの地震以降、私は絵画で人に「希望」を起こさせるようなものを描こうと決心しました。
そのためには自分自身の大きな感動を見る人に伝える内容の吟味と、サイズ的にかなりの大きさが必要であると感じるようになりました。
なのでテーマの設定で熟考し、120号以上の大作を作り続けることとなりました。
また、見る人に「大きな感動」を呼び起こすような絵を描きたいと切に思っていますので、絵の内容と構図などに今までにないような斬新さが出るように工夫しています。
斬新さということでは、大げさな言い方ですが、最新の映画や日本のアニメなど高度に発達した映像技術の画像に見慣れた私たちの現代の視覚にさえも、新鮮な感覚をもたらすものを描きたいと思っています。

●今回の個展の出品作品について
DMの作品は、「家族の肖像」というタイトルです。
若いお母さんとその子供の、二人っきりの家族です。背景となっている街並みは、阪神間の丘陵にある街並みのいくつかを組み合わせて描いたものです。
この家族は、私の家族ではありません。私は美術系専門学校の講師として働いており、生徒や周りの人々の話から人間関係や家庭の貧困について直接耳にする機会があります。
日々、明るい話題もありますが、私は人々が持つ心の影、一人で抱えているより仕方のない悩み、社会の中で置き去りにされた部分に光りをあて、応援する気持ちで制作をしています。
現在、シングルマザーの総数は増加傾向にあると聞いています。その中で、貧困に苦しむ家族も少なくないということも、ニュースや新聞、人の話を聞くことで知りました。
この作品が見る人の心に勇気と共感を生むことができればと願いつつ、描きあげました。

今回、もう一つ、1970年の大阪万国博覧会の作品を描いています。
「EXPO`70/Remix」という作品です。私が、中学生の頃、すっかり夢中になってしまい十回ほど行きました。
その当時、幼い私にとって、万博は未来都市が出現したように感じたものです。
「未来への期待と希望」を表現した建築群と日本史上最大のお祭りであった大阪万博の盛り上がりを、現代を生きる若者にもぜひとも伝えたいと思いました。もちろん、私たち、万博を通過した世代には、ふたたびあの当時の活力を思い出すものになるのではという期待もこめています。
「人類の進歩と調和」とテーマされ、人々の賑わいと科学の進歩への期待、その跡地の万博公園が今や「太陽の塔」のみになってしまいました。
つまり、「人類の進歩」を唄った万博で最後に残ったのは、芸術作品であった。
このことが、わたしにとってとても重要な意味をもち、絵画という媒体を通じて、社会に訴えかけることの芸術的な意義を感じています。

●私が考える美術家の仕事
私は、作家という仕事を選択し、社会の一員として絵を描き続けています。
私の描く作品が、世の中の動静の中で、人々が良い方向に向かうことを願いながら一枚一枚、描きあげました。一人でも多くの人に見ていただければと思っています。



□ 略歴

1957

大阪府生まれ

1982

大阪芸術大学芸術学部美術学科卒業

 

個展

1985

Gallery Space to Space

(愛知)

1986

Gallery Space to Space

(愛知)

1987

ギャラリーホワイトアート

(東京)

ギャラリー白

(大阪)

1990

ギャラリーホワイトアート

(東京)

1991

ギャラリーVIEW

(大阪)

1993

ノブギャラリー

(愛知)

ウーファギャラリー

(京都)

1995

ギャラリー白

(大阪)

1996

ノブギャラリー

(愛知)

ウーファギャラリー

(京都)

ギャラリーエスプリヌーボー 

(岡山)

1997

ハックネット

(大阪)

1998

ノブギャラリー

(愛知)

2000

ノブギャラリー

(愛知)

2003

ギャラリー白

(大阪)

2010

ギャラリー白

(大阪)

2013

浜本隆司個展 青空のフェニックス

(尼信会館:兵庫)

2016

ギャラリー白

(大阪)


グループ展

1986

アール・ディフェラン

(ギャラリー白:大阪)

YES ART 6

(ギャラリー白:大阪)

1987

YES ART DELUXE

(佐賀町エキジビットスペース:東京/ギャラリー白:大阪)

装飾の原点

(ギャラリー白:大阪)

1991

ART JUNCTION 6

(阪急百貨店:京都)

1987

いま絵画はーOSAKA'92

(大阪府立現代美術センター:大阪)

seed 2ー失われた言葉

(ウーファギャラリー:京都)

1993

吉原治良賞美術コンクール

(大阪府立現代美術センター:大阪)

1994

同時代の作家展

(ギャラリー白:大阪)

Nine Young Artist From Japan

(オーチャードギャラリー・北アイルランド)

1995

REPORT ON

(ギャラリー・ラ・フェニーチェ:大阪)

洛外芸術展IN大邸

(ギャラリーシーラ:韓国)

1996

洛外芸術展

(ギャラリー白:大阪)

1997

洛外芸術展

(中央美院画廊:北京)

名古屋コンテンポラリーアートフェアー

(愛知)

1998

(ギャラリー白:大阪)

名古屋コンテンポラリーアートフェアー

(愛知)

1999

ドローイング3人展

(ノブギャラリー:愛知)

2000

名古屋コンテンポラリーアートフェアー

(愛知)

2001

冬の座

(ギャラリー白:大阪)

風と大地

(アートギャラリー・フジハラ:大阪)

アートマルシェ

(大阪国際会議場:大阪)

2002

同時代の作家達

(ギャラリー千:大阪)

愛と平和への祈り展

(宮崎県立美術館:宮崎)

2003

平成十五年冬の座

(ギャラリー白:大阪)

2004

春の座

(ギャラリー白:大阪)

2005

春の座

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

音と音楽にまつわる展覧会

(ギャラリーR.P:大阪)

Trend of new realism painting

(ギャラリー白3:大阪)

2006

冬の座

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

2007

冬の座

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

架空通信 百花繚乱展

(兵庫県立美術館ギャラリー:兵庫)

2008

冬の座

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

架空通信 百花繚乱展

(兵庫県立美術館ギャラリー:兵庫)

2009

冬の座

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

架空通信 百花繚乱展

(兵庫県立美術館ギャラリー:兵庫)

2010

冬の座

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

2011

冬架空通信 トリビュート

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

 

マーラー生誕を祝して

(ギャラリー菊:大阪)

 

THINK FUTURE@子供たちの子供達の子供たちへ

 

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

 

アートフェア京都2011

(ホテルモントレ京都:京都)

第38回 現代美術-茨木2011展

(茨木市立生涯学習センター:大阪)

生誕100年 津高和一 架空通信展

(西宮市大谷記念美術館:兵庫)

 

gallerism 2011 the FINAL−画廊の視点

 

(大阪府立現代美術センター:大阪)

Japan play

(2kwギャラリー:大阪)

2012

尼崎アートフェスティバル2012

(尼崎総合文化センター:兵庫)

MAX PAINTINGS

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)

2013

MAX PAINTINGS 2.0

(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)


パブリックコレクション

名古屋芸術大学

ホテルオークラ