木目が持つ、ゆらぎのリズムをテーマに、制作を続けて37年になります。初期は油彩による具象的表現でしたが、10数年前にアレルギーで下地に使うアクリル絵の具を使えなくなってからは、抽象的表現へと移行しました。いろいろな素材の変遷の後、近年では綿麻を墨や紅茶で染めてテクスチャーを創り、そこに胡粉で木目を描いたパネルを壁面に配置して、インスタレーションしていました。2015年の神戸での個展で、ガラス窓に水性インクで木目を描くというライブペイントをしてから、透けて見える向こう側の景色と透明板に描いた木目との関わりが面白くなり、”shakkei (借景)” シリーズが始まりました。木目を描いたアクリル板の背後にコンクリート壁面があれば、”shakkei-construction”、背後に沖縄の海があれば、”shakkei-ocean”、又、アクリル板背後に樹脂加工を施すことにより支持体そのものの奥行きを感じさせる”shakkei-foam”、という展開をしています。平面作家でありながら、空間を造形していくことの意識が強いです。心地よい体験型の空間を創出します。
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