「色の中の色ー植物の色の海に潜るー」
今年は2月から6月まで、アメリカワシントン州ベリンハムにあるThe Whatucom Museumの企画展「KATAZOME TODAY’S」に出品しました。(現在はアイダホ州にあるBOISE Art Museumにて2024年1月まで開催中です。) 3月にはミュージアムで植物染料を使った型染めのワークショップをしました。西ワシントン州立大学では、自分の作品、植物染料、古代の紫の研究、大学での教育についてレクチャーする機会を得ました。とても大勢の方々に参加していただいて、日本の染色や型染め、天然染料、美術に興味のある方が多いことに驚きました。展覧会「KATAZOME TODAY’S」には海外のアーティストが多く出品し、アートの技法の一つとして、自由な表現に扱われていました。私の作品も大きな空間でとてものびやかに展示され、嬉しい経験でした。
10月には大手前大学で古代の紫染色再現実験の報告会「古代の高貴な色を求めて」を開催しました。朝日新聞と毎日新聞の阪神版に大きく取り上げていただいたこともあり、134名の参加者がありました。史学研究所主催の講演会で、不確かなことは話せないという緊張感から、もう一度大量の資料を読み直して講演会の準備をしました。それは、科研費で実験をしていた4年間の仕事を振り返りながら、再び深く「紫根」と向き合うことになりました。今年と来年の2ヵ年計画で、学生たちと一緒にもう一度、古代の紫の再現実験をしています。
二つの今までの仕事について話をする経験は、植物染料に関わる仕事と作品制作をもう一度見つめることとなりました。やはり植物から色素を抽出する染めや研究は、作品制作に於いても、とても特別で大切なものと感じています。今回の個展テーマ「色の中の色ー植物の色の海に潜るー」は自分の作品制作が新しい植物との関係も育みながら、深く植物の色の海に潜っているようだと思いタイトルにしました。
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