■ Ceramic Site 2004 Vol.1
  −秋永邦洋・粟田尚子・岡林葵・川越里美


□ 展覧会テキスト−中井康之(国立国際美術館学芸員)
「ミーメーシス」の叛逆、と・・・
いま、「土」で表現することの意味性や必然性を見出すことは、限りな
く難しいように思われる。勿論、そのような伝統的表現を墨守するよう
な行為は、いわゆる工芸と総称される表現ばかりではなく、絵画や彫刻
においても同様の問題は在るだろう。とはいえ、両者の難しさのレベル
には歴然とした違いがある。
絵画・彫刻は、「ミーメーシス」という女神との別離と引き換えに、そ
の「ミーメーシス」を表わすために用いてきた物質自体に「ミーメーシ
ス」に代わる価値を付与し、そのことが近代美術の起点となった。同様
に、「用」としての機能を排除し、素材自体に表現することの可能性を
問うような近代以降の工芸にも新たな表現の舞台が用意されていた筈で
ある。
しかしながら、「ミーメーシス」は「シミュレーション」等といった衣
装を纏いながら絵画・彫刻を覆うことによって、ある思想的モデルを示
唆するかのように振る舞い、息を吹き返したのである。近年、映像表現
やグラフィックな描写が優位な立場を占めてきたのは、そのような流れ
に沿ったものであろう。
残念ながら、工芸的な領域に於いては、類似した帰路は用意されていな
い。絵画・彫刻が逼迫した状況にあること以上に、隘路に立たされてい
ると言わねばならないことは自明である。それを打破するのは個人の表
現に掛かっている、といった無責任な言辞を弄することも厳に慎まなけ
ればならないだろう。何故なら、このような状況以外に選択肢を用意し
てこなかったことも我々自身の責任だからである。我々は、ただ、「土
と水と火」との経験が積み重ねられてきた痕跡の中に、新たな価値観が
生まれ出る時を「待つしかない」のである。

□ 秋永邦洋


□ 略歴
1978 大阪府生まれ
2001 大阪芸術大学芸術学部工芸学科陶芸コース卒業

個展
2002 ギャラリーマロニエ                (京都)
2003 ギャラリー白                   (大阪)

グループ展
2001 陶器5人展         (ギャラリーハンター坂・神戸)
   兵庫県展           (兵庫県立近代美術館・神戸)
   ['02,'03]
   第39回朝日陶芸展              (東京ほか)
   ['02]
2002 器展            (ギャラリーハンター坂・神戸)
   ℃                 (ギャラリー千・大阪)
2003 川西市展           (川西市立中央公民館・兵庫)
   日本クラフト展             (銀座松屋・東京)
   工芸都市高岡2003クラフト展    (大和高岡店・富山)
2004 Ceramic Site 2004  (ギャラリー白,ギャラリー白3・大阪)

受賞
2001 兵庫県展 神戸新聞社賞
   朝日陶芸展 奨励賞
2002 兵庫県展 佳作
2003 川西市展 大賞

□ 粟田尚子


□ 略歴
1970 大阪府生まれ
1990 浪速短期大学デザイン美術科工芸卒業

個展
1995 画廊みやざき                   (大阪)
1997 ギャラリー白                   (大阪)
1999 ギャラリー白                   (大阪)
2003 ギャラリー白                   (大阪)

グループ展
1999 あかりのオブジェ展      (岐阜市文化センター・岐阜)
2000 7 women ceramic art展      (阪急グランドビル・大阪)
2001 陶芸展<壁>            (ギャラリー白・大阪)
2002 Ceramic Site            (ギャラリー白・大阪)
2003 美術の個体性と普遍性展        (比良美術館・滋賀)
2004 Ceramic Site 2004  (ギャラリー白,ギャラリー白3・大阪)

□ 岡林葵


□ 略歴
1973 神戸市生まれ
1999 大阪芸術大学大学院芸術制作研究科修士課程卒業
2002 アーティスト イン レジデンスとして滞在制作
         (アトランティック大学・アメリカ フロリダ州)
           (ウィラメット大学・アメリカ オレゴン州)

個展
1997 茶屋町画廊                    (大阪)
1999 ギャラリー白                   (大阪)
2002 Piece Project I     (アトランティック大学・アメリカ)
   Piece Project II      (ウィラメット大学・アメリカ)
2003 Air Work           (Pocket美術函・神戸)

グループ展
1996 伊丹クラフト展       (伊丹クラフトセンター・大阪)
1997 ディスプレイ             (神戸異人館・神戸)
   酒器展          (ギャラリープリンキピア・富山)
   うつわ展              (ギャラリー紅・京都)
1999 ディスプレイ         (堺東高島屋アップル・大阪)
2000 焼成による変様展   (セルフソウアートギャラリー・大阪)
   日韓米交流展「同床異夢展」    (Gallery SAGAN・ソウル)
   日韓米交流展「現代陶芸交流展」
                (アートミュージアム銀座・東京)
2001 朝日現代クラフト展
2002 日韓米交流展「EXCHANGE」           (アメリカ)
   酒の器               (金津創作の森・福井)
   ℃                 (ギャラリー千・大阪)
2003 Cramic Site             (ギャラリー白・大阪)
   air work           (Pocket美術館・神戸)
   ミニアチュール展         (ギャラリー島田・神戸)
   [〜'06]
2004 Ceramic Site 2004  (ギャラリー白,ギャラリー白3・大阪)

□ 川越里美


□ 略歴
1975 京都府生まれ
1998 京都市立芸術大学美術学部工芸科陶磁器専攻卒業
2000 京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻修了

個展
2001 ギャラリーマロニエ                (京都)
2003 大福堂ギャラリー                 (兵庫)

グループ展
1998 第5回国際陶磁器展美濃’98           (岐阜)
2003 浮気のかたち2003     (ギャラリーマロニエ・京都)
              (ワコール銀座アートスペース・東京)
   京都府美術工芸新鋭選抜展     (京都文化博物館・京都)
2004 浮気のかたち2004     (ギャラリーマロニエ・京都)
              (ワコール銀座アートスペース・東京)
   Ceramic Site 2004  (ギャラリー白,ギャラリー白3・大阪)

受賞
2003 京都府美術工芸新鋭選抜展 優秀賞