□ コメント
「風を踊る−danser un vent」
日常、時間の使い方のバランスを崩してしまうほど没頭するモノに出会
う時がある。
1日24時間は変化してくれないので、夜のTVを見ながらダラダラ過ご
す時間をスポーツクラブに行くことがすっかり習慣づいてしまった。沢
山のプログラムの中で、春先より入り始めた「バレエ」がマイブームで
ある。身体表現は私の筋肉と体力では、とうてい無理があると分かって
いるので気軽に楽しむつもりがムキになっている。
「種子のリズム」というタイトルは踊ることから付けたものではない。
随分前からよく登場するタイトルのひとつだが、心臓の鼓動が刻むリズ
ムがきっかけであった。内蔵や骨、種子。20年余りの制作の中で主体
となっている生命(エネルギー)と感情の交錯の中から絵が生まれてく
る。
ところが制作していてバレエ曲が頭を巡っているのだ。それならば実が
風を踊っている様を意識的に描こうと思ったのが案内状の絵「種子のリ
ズム−croiser」を含む壁面の4枚。バレエのテクニックがタイ
トルになっている。少し照れくさい。
今回の展覧会は、それぞれの壁ごとに制作した期間が少し異なる。見づ
らくならないようにまとまりを持たせようとしたが、これが今の私なの
かもしれない。自然に短期間で絵が変化しているように、私も変化して
いる。
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