「青い心」
「 大好きです 窯焚きが あっけらかんと 」
2016年3月、まさにこの場所での初個展の文章は、そんな言葉で締めくくられていました。あれから2年半、やはり窯焚きが大好きで、ずっと美しい火色を追い求めてきました。 2017年春、ご縁あって奈良に窯を築くことができ、同年夏の個展には大学の窯の時よりも美しい火色の作品を並べることができました。 その折に、多くの方々の激励のお言葉の中に「初心を忘れず」というのがありました。
「初心」とは、謙虚さなど様々な概念を含む言葉だと考えますが、最も大きい要素は「情熱」ではないかと私は思うのです。
そんな「青い心」をずっと胸に咲かせよう思うのです。
京都の実家から奈良の工房までは片道3時間ほどかかるのですが、運転中にしばしば音楽を聴きます。
最もお気に入りなのが「THE BLUE HEARTS」のメドレーです。
シンプルでいて心に残るメロディー、簡単な言葉の組み合わせでいて心に響く卓越したワードセンス、解散後20年余り経つグループの歌が私の魂を新鮮に揺さぶるのです。
そして、私の作品もそんな風でありたいと、磁土と窯に向かうのです。
私と同い年の「夢」という曲の中には「限られた時間の中で 借りものの時間の中で 本物の夢を見るんだ 本物の夢を見るんだ」という一節があります。 まさに今の私を映すようです。
やはり焚き終わった後の疲労感が心地よいのです。
2018年秋 工房にて
下村一真 |