個展に寄せて
朝起きて新聞を読んでいると、違和感を覚え、気分が滅入ることがあります。それは、書かれた内容よりも書かれていない「不都合な真実」に思いを馳せるからかも知れません。そのような記事をクラフト紙に貼り付け、「がしゃ髑髏」が浮かび上がるように、墨汁と筆で描いています。
この作品は、今年4月に京都で発表したものですので、記事もだいたい、1月から4月頃までのものです。新聞は普段、家で読んでいるもので、意図的に特定の新聞を選別した訳ではありません。
歌川国芳によって「相馬の古内裏」で描かれた「髑髏」は、戦争で野垂れ死にし、無念に亡くなった怨霊が集まって、巨大な「餓者髑髏」に成ったものだそうです。さりげない、日常の新聞の中に、死の幻影が忍び寄るように想うのは、私だけでしょうか。
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