個展に寄せて 2018年7月
思えば、ありもしない自分探しの旅に、長い間出かけていたような気がする。自分とは何か? 自己言及を繰り返す、無限の牢獄。
アルフレッド・アドラーは言う「一般的な人生の意味は無い」「人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ」と。
すなわち、「人生とは何か」と問いかけても、誰にでも通用するような答えは無い」というのだ。この文章を、「芸術」や「絵画」に置き換えて考えてみてはどうだろう。そしてそのような思索を通して、作品を企てて行けたらと思う。
自らを縛り付ける牢獄から解き放ち、「いま、ここ」を真に生きることで、予想もしない未来の地平を楽しみとしたい。
この作品は、今年の1月から6月に発行された新聞を切り貼りした背景に、歌川国芳が「相馬の古内裏」で描いた「餓者髑髏」を題材として、墨汁と毛筆等で制作しています。
松本 靜明
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